近年の災害対応検証の課題一覧

災害名
分類名
フェーズ
件数 620 件
災害名 分類名 フェーズ 課題概要
熊本地震 〇発災直後は情報が断片的にしか上がってこない【知事公室】・前震・本震ともに夜間に発生し、被害も複数箇所で同時に発生したため、発災直後は市町村消防、警察共に、被害状況の全体を即座に把握できず、断片的な情報だったため、死亡者・負傷者の情報は病院に搬送された件数、救助情報は消防、警察といった具合に関係機関からの情報を収集・統合する必要があった。・特に被害の大きかった益城町、南阿蘇村などについては、市町村からの被害情報の収集が極めて困難であった。
熊本地震 〇膨大な量の情報や問い合わせの殺到により、情報共有に苦慮【知事公室】・発災当初は膨大な量の情報に加え、県内外及び報道機関からの問い合わせが殺到したため、対応記録メモの作成やホワイトボードへの記載を十分に行うことができず、情報共有に苦慮した。
熊本地震 〇情報連絡員による定時報告の共有作業が非効率【知事公室】・情報連絡員(LO)による定時報告が極めて大量で、なおかつFAX送信によって行われており、また、大量の報告のうち、それぞれの変更点や重要度が不明だったため、その確認作業及び関係部署との情報共有に時間を要し、対応が後手に回ることもあった。
熊本地震 〇多くのマンパワーを要する運営方法であったため、他の本部業務に支障【知事公室】・被害が甚大な市町村及び振興局では、震災対応や外部からの問合せに忙殺され、被害報告や資料作成が時間どおりに報告できないことがあった。・市町村からの被害情報の集計が、手作業だったため、単純集計作業に多くの労力を要し、その結果、報告の遅れや資料の作成ミスが発生し、会議直前まで資料が完成しないことがあった。・発災直後から県災害対策本部・政府現地対策本部合同会議を44回開催したが、会議資料の取りまとめ、必要部数(約170部)の印刷等に多大な人員(約20名)と時間(2~3時間程度)を要する運営方式であった。
熊本地震 〇情報の集約が混乱【知事公室】・災害関連情報について、断片的なものや不完全なものが多種多様な主体から大量に提供があったため、何をどこまで発信してよいのか、担当部署においても情報整理が難しい状況が生じた。
熊本地震 〇報道機関からの詳細情報の提供依頼に苦慮【知事公室】・「災害対策本部会議資料」をホームページに掲載することで当面の情報発信としたが、報道機関等からは、それ以上の詳細な情報が求められ、対応に苦慮した。
熊本地震 〇情報のホームページ上の掲載方法について事前の検討が不足【知事公室】・収集した情報のホームページ上の掲載分類等が事前になされていなかったため、被災後に行うこととなり、対応が遅れた。
熊本地震 ○県災害対策本部と非常災害現地対策本部等の不十分な連携【知事公室】・災害対策本部に多くの機関が参集したため、県災害対策本部が設置された新館10階の防災センターが手狭となり、非常災害現地対策本部の部屋は新館2階に設置、地震によりエレベーターが停止した状態での連携は困難だった。・他省庁との協議が不十分な状態での県への指示の発出や、派遣職員の短期間での頻繁な交代による業務の引継ぎ不足などにより、県や市町村に混乱が生じることがあった。
熊本地震 〇地方対策本部会議の運営体制及び情報共有【広域本部・地域振興局】・勤務公署に登庁が困難な場合は、最寄りの県施設に登庁することになっているため、発災当初、参集職員が限られた中、実効性のある本部会議の開催等が困難な振興局等も存在した。・一部の振興局等において、地方災害対策本部が設置された総合庁舎と保健所や土木部の庁舎が離れた場所にあるため、本部会議への出席者の往復に時間を要し、情報伝達や連携に支障が生じた。・庁舎の停電等が発生した振興局等において、非常用電源から情報機器等への電力供給が制限され、情報収集活動が困難であった。・被災の激しい地域の振興局等に自衛隊等の外部機関の現地指揮所が設置されたが、庁舎内のスペースや駐車場が大幅に不足した。・一部の振興局等において、管内市町へ派遣する情報連絡員について、マニュアルでは「1市町に短期間」と想定したため、管内全市町に、かつ長期派遣を行うための要員の確保に苦労した。・発災当初、職員の安否確認や所在確認に時間を要した。
熊本地震 〇本庁(災害対策本部等)への被害報告等が困難【広域本部・地域振興局】・管内市町村の被災が大きな振興局等において、被災市町村の被害状況の把握が困難であったことから、本庁の災害対策本部への被害報告が滞る場面も存在した。また、支援措置等について、本庁各部署との情報共有が困難なところも存在した。
熊本地震 ○災害対策本部体制の長期化により、勤務体制の編成が困難【広域本部・地域振興局】・災害対策本部の24時間体制が長期化する中、職員の健康面の配慮を踏まえ、勤務体制の編成は工夫が必要であった。
熊本地震 〇職員用の水・食糧等が不足【広域本部・地域振興局】・一部の振興局等において、災害対応を行う職員用の食糧等について、庁舎内の備蓄では十分に賄うことができなかった。
熊本地震 〇災害対策本部内の一部のグループに業務が偏在<一部再掲>【知事公室】・通信確保グループは、防災行政無線システムなど技術的に専門性が高く、危機管理防災課情報通信班の技術職員(4名)以外に対応できるものがいない状況の中で、通信確保に加えて、無線、ネットワーク、震度情報、映像等システム全般の障害にも対応しなければならないため、人員が不足した。
熊本地震 ○大規模な障害が発生した場合は、県技術職員のみでは復旧が困難【知事公室】・情報通信に関する各種システムについては、種類が多く、内容も複雑・高度化しており、施設は県内一円にあるため、大規模な障害が発生した場合は、県技術職員のみでは復旧することができなかった。
熊本地震 〇防災行政無線衛星端局装置が一時使用不能【知事公室】・前震により県庁内設置の防災行政無線衛星端局装置(当該機器を設置した平成5年当時の耐震基準を満たしたまま、再整備工事で仮設中)が横転し、平成28年5月13日までの間、衛星回線を使用して、市町村等と無線による情報伝達ができなかった。(なお、本県においては、平時から防災情報ネットワークシステム(不通の場合はNTT回線)を使用して市町村等と連絡を取っており、情報伝達に支障はなかった。)
熊本地震 〇防災センター内の映像システムで一部不具合が発生【知事公室】・本震(4月16日午前1時25分)により防災センターの映像システムの要である12面マルチスクリーンが故障し、映像が見られない状態となった。危機管理防災課情報通信班の技術職員が防災センターに待機していたため、すぐに復旧にあたったが、一部しか復旧できなかったことからシステム保守管理事業者に対応を要請した。当該事業者は本震発生から2~3時間後(4月16日午前3時~4時)に防災センターに到着し、職員とともに復旧作業にあたった。・しかし、大きな揺れの影響で故障の原因の特定に時間を要し、映像システムの制御部の基盤を交換して、約15時間後の4月16日午後4時30分頃にようやく復旧した。
熊本地震 〇一部の震度計で不具合が発生【知事公室】・県では73箇所の震度計を所有し、各地点で観測された震度情報はリアルタイムに気象庁に配信し、各地の震度として公表されている。しかし、気象庁による震度計の緊急点検の結果、熊本市南区役所と南阿蘇村長陽庁舎の2箇所は基礎台のぐらつきが認められ、不適となり、観測した震度が公表されなくなった。このため修復するまでの11日間、この地点の震度情報が観測できなかった。・しかし、熊本市南区及び南阿蘇村には他の震度計が設置されていたため、支障なく震度情報が発表された。※県内には、県が設置する震度計73カ所の他、気象台が12カ所、国立研究開発法人防災科学技術研究所が20カ所、熊本市が1カ所、合計106カ所の震度計が設置されている。
熊本地震 ○一部の市町村で停電が発生【知事公室】
熊本地震 ○災害対策本部における人員の確保及び適切な配置【知事公室】・災害対策本部内で、報道対応や物資支援などに関する各部(各課)の役割分担について、一部明確でない部分があったため、防災センターにおける各班の配置や担当業務の遂行に支障を来した。・前震及び本震後、「大規模災害対応業務防災センター応援職員名簿」に登録されている危機管理防災課及び消防保安課OB職員に防災センターへの登庁を依頼したが、登録職員の中には、自宅が被災して避難中であったり、保育園が被災して子どもを預けられるところがなかったりして、登庁できない職員がいた。・自身の勤務公署に登庁できず、本庁の災害対策本部等に登庁した者をうまく活用することができなかった。
熊本地震 ○職員の避難・前震発生後、エレベーターが停止していたため、車いすを使用している職員が、〇日間、帰宅できなかった。
熊本地震 ○地域振興局等における職員参集等【広域本部・地域振興局】・職員の多くが管外に在住している振興局等において、道路や公共交通機関の被災等により、速やかな職員参集が困難であった。また、通常時よりも通勤に時間を要することから、自主的に最寄りの宿泊施設に宿泊する職員もいた。・発災直後は、道路の遮断等で自身の勤務公署に登庁できない場合は、最寄りの県機関に出向くこととなっており、また、地域振興局・広域本部所在地ではない地域、特に熊本市に居住している職員が多いことから、地域振興局によっては十分な人員を確保できないところがあった。<各地域毎の参集状況一覧表>・発災直後、自所属への登庁が困難な職員が最寄りの勤務公署に登庁した際、当該職員の業務や役割、それら職員に対する指揮系統が不明確であった。
熊本地震 〇県防災センターの受入れ体制について、スペースの確保不足【知事公室】・県防災センターの受入れ体制について、事前に配置計画を作成していたが、実際には、スペースが不足した。・発災直後の人命救助の局面において、配置計画にない被災者支援を行う機関が防災センター内に拠点を構えたため、救出・救助を行う機関のスペースを圧迫し、救出・救助活動に支障を来した。
熊本地震 〇救出救助が必要な現場が同時に多発したため、装備資機材の確保に時間を要した【知事公室】・各応援機関及びLO用の電話等の通信機器やプリンター等のOA機器等、必要な資機材の確保に時間がかかった。
熊本地震 ○平時の関係が薄い機関との連携が不足【知事公室】・総合防災訓練に参加している機関や平時から業務上の関わりがある機関については円滑に連携ができたが、平時の関係が薄い機関(経済産業省九州経済産業局や県石油商業組合等)とはうまく連携が取れなかった。・特に、県石油商業組合は自身が被災していたこともあり、発災当時は連絡が取れず、緊急車両へのガソリンの供給要請ができなかった(石油連盟が代替で実施)。
熊本地震 ○タンクローリーの緊急車両認定が行われていなかったことから、燃料供給に支障【知事公室】・タンクローリーの緊急車両認定が行われていなかったことから、県内のガソリンスタンドへの燃料供給に支障を来した。
熊本地震 ○燃料関係を調整する部署を設けていなかった【知事公室】・発災時に燃料関係を調整する部署を設けていなかったことから、燃料関係の調整がスムーズに進まなかった。※燃料の輸送については、国(経済産業省)を中心に、中核SSや九州電力への電源車への供給が行われた。
熊本地震 ○大規模災害時、市町村の対応には限界【知事公室】【総務部】【県警本部】・地域防災計画上、市町村が警察、消防等の関係機関の協力を得て行うとされているが、今回の熊本地震のように、全県的な大規模災害や、他の市町村において安否不明となった場合、市町村における対応には限界があった。
熊本地震 ○警察や消防など様々な主体が関わる行方不明者の捜索において、指揮統制を行う者が不在【知事公室】【総務部】【県警本部】・平成28年8月の車体発見現場捜索において、現場における指揮統制を行う者が円滑な活動のために必要不可欠であるが、日頃訓練を受けていない県職員が被災現場に入ることは困難かつ危険であり、現場における指揮統制を行うものが必要。
熊本地震 ○行方不明者の捜索において、費用負担を含めた役割分担等の再確認が必要【知事公室】・行方不明者の捜索において、関係機関において原則に立ち戻り、費用負担も含めた役割分担等の再確認が必要である。
熊本地震 ○報道機関への情報提供のあり方について検討が必要【知事公室】【総務部】【県警本部】・現場と災害対策本部の情報共用や、捜索の進捗状況を踏まえた報道機関への情報提供等のあり方(捜索活動に支障を来さない情報提供のあり方)について検討が必要である。