近年の災害対応検証の課題一覧

災害名
分類名
フェーズ
件数 620 件
災害名 分類名 フェーズ 課題概要
熊本地震 ○救出救助部隊、交通部隊の部隊拠点の確保に苦慮【県警本部】・救出救助部隊、交通部隊は部隊員数(警備部隊延べ約11,000人、交通部隊延べ約7,300人)が多く、帯同車両も多かったことから部隊拠点の確保に苦慮した。結果として、警備部隊は運動公園を、交通部隊は交通機動隊の訓練場を拠点として運用したが、今後、郡部で発生した際に、同規模の部隊の拠点となる場所を確保することが困難になると思われる。
熊本地震 ○部隊の給油に関して、燃料の確保が困難【県警本部】・部隊の給油に関して、地震による停電等により給油所が閉店し燃料の確保が困難になった。特に、今回は本震以降の主たる活動が南阿蘇村であり、熊本市内から遠距離であること、給油所の数が少ないこと、小規模の給油施設しかないことから、部隊給油が大きな問題となった。給油所に九電の電源車を配置して電力を確保することにより燃料を確保したが、特定の給油所に多数の車両が集中することから渋滞が発生し、被災地における交通の円滑の確保に問題が生じた。その反面、自衛隊からのタンクローリーによる給油支援については、部隊の活動拠点に赴いて給油が可能であることから、渋滞の発生もなく、また部隊の円滑な活動に非常に効果的であった。
熊本地震 ○部隊活動用のトイレの確保に時間を要した【県警本部】・今回の地震対応において、救助部隊の活動拠点となったのは、熊本県民総合運動公園、銀河高原ビール跡地(南阿蘇村)、パークゴルフ駐車場(南阿蘇村)であったが、部隊活動用のトイレの確保に時間を要した。県が協定を締結している「熊本県環境事業団体連合会」による部隊拠点等への仮設トイレ設置が可能か否かについて検討し、可能であれば設置までの連絡系統等のマニュアルを作成する必要がある。
熊本地震 ○部隊の宿泊施設の確保に苦慮【県警本部】・治安維持、被災者対策のため派遣される部隊等(パトカ-、覆面警察車両による警ら部隊、避難所を訪問して避難者に声かけを行う女性部隊)については、自活能力を有しておらず一般の宿泊施設に宿泊する必要がある。・しかし、今回、発災直後は、ほとんどの宿泊施設が安全上の問題、従業員の確保の問題等から宿泊が不能であり、その後暫くした後は、各機関の支援員、報道関係者の宿泊により満室状態となっていた。
熊本地震 ○活動拠点の環境整備【総務部】・熊本地震では、前震に続き本震が発生し、その後も度々余震が発生したことにより宿営場所としていた県消防学校内の建物に被害が発生するなど二次被害のおそれがあった。また、ヘリベースは通常、被災地の消防防災航空隊基地である空港、ヘリポートに設置するものとしているが、余震等によりヘリベースが二次災害のおそれがあった。・県消防学校の体育館等の施設が使用できず、ライフラインも被災したことからテント等による野営を余儀なくされた。また、各救助関係機関が被災地に集結したため、活動拠点及び宿営場所の確保が困難となり、分散が図れず多くの部隊が一箇所に集中することとなった。そのため、衛生管理の徹底や廃棄物及びし尿の処理を行うための体制の確保、衛生面に配慮したエリア分け等ができず、ノロウイルス等の集団感染等の事態が発生するおそれがあった。また、被災地では、道路の寸断等により燃料補給が困難であった。県庁舎駐車場に集結した消防車両(阿蘇市)
熊本地震 〇消防応援活動における情報共有・情報の提供が不足【総務部】・緊急消防援助隊の部隊間の情報共有は、緊急消防援助隊動態情報システムや支援情報共有ツールにより実施されたが、情報伝達が可能な端末の不足により、情報共有に課題が生じた。・県内各消防本部や広域活動拠点となった県消防学校に対し、被災地の状況、被災消防本部の活動状況、緊援隊の活動状況、交通状況等の情報の提供が十分行えなかった。
熊本地震 〇消防応援活動調整本部での受援体制に係る課題【総務部】・被災地での災害対応や道路事情等により、被災地消防本部職員の活動調整本部への参加が遅れ、地理不案内等により緊急消防援助隊の活動調整や宿営場所の選定等に苦慮した。・夜間の指揮支援部隊の受入に当たっては、福岡市消防局が消防ヘリで熊本県庁(県警ヘリポート)への直接着陸を検討したが、県警ヘリポートは夜間照明がなく使用できなかった。・また、県庁に最も近い一般着陸場所である上江津湖公園も照明設備がなかったことから、照明設備がある国立病院機構熊本医療センターヘリポートに着陸させ、熊本市消防局が県庁まで人員を輸送した。
熊本地震 〇広域活動拠点(消防学校)での受援体制に係る課題【総務部】・各県からの部隊車両等受け入れにあたり、100台を超える車両が集結し、敷地内の空きスペースに各々駐車、宿営施設を設置したため、車両等の整理が効率的に行えなかった。・広域活動拠点である消防学校が、被害の大きかった益城町に所在することから、現地活動拠点としての役割も担うこととなったため、施設のキャパシティーに余裕がない状況での運営となった。・消防学校は、広域活動拠点として長期間の運営・宿営拠点となったが、比較的短期の宿営拠点であることを想定していたため、備蓄など不十分な点があった。
熊本地震 ○部隊展開の課題【自衛隊】・NEXCO西日本との協定に基づき、発災当初の部隊展開に高速道路を使用したが、高速道路使用の手続きに関し、現場の部隊までの認識共有が不十分であった。
熊本地震 ○物資輸送の課題【自衛隊】・避難所へ直接物資を輸送するにあたり、各地域に点在する避難所の掌握が困難であり、各部隊が直接地域を偵察して掌握する状況が発生した。
熊本地震 ○給食支援の課題【自衛隊】・炊事施設から各配食所までの運搬作業において、季節によっては、食中毒発生のリスクが更に高まるため、時期に応じた運搬食支援実施の可否判断を行う必要がある。
熊本地震 〇自衛隊の撤収要請・自衛隊の災害派遣活動は、人命救助・捜索活動から支援物資の輸送と企業等の営業再開に応じて変化したが、最終段階では指定避難所での入浴サービスが行われ、被災地でも入浴施設での営業が再開され、非代替性がなくなったため、自衛隊側から県及び被災市町村に対して、自衛隊撤収が提案されたが、被災市町村の理解を得ることに相当の時間を要した。
熊本地震 ○緊急消防援助隊の集結拠点である県消防学校の屋内訓練場が被災【総務部】・緊急消防援助隊の集結拠点である県消防学校の屋内訓練場が被災したため、同校グラウンドに野営した。
熊本地震 ○物資集積拠点であるグランメッセ熊本が被災【知事公室】・物資集積拠点であるグランメッセ熊本が被災し、代替倉庫の迅速な確保に苦慮した。
熊本地震 ○広域防災拠点施設が、一つの地域に集中【知事公室】・一つの地域に広域防災拠点が集中することで、各機関の一体的な活動が可能となる一方で、当該地域が大きく被災した場合には、その機能が停止する恐れがある。
熊本地震 ○迅速かつ円滑な医療救護に必要な情報、経験の不足【健康福祉部】・医療機関の被害や患者受入情報の収集・報告に時間を要した。・被害が大きい二次保健医療圏域において、県内外から参集した医療救護班等のコーディネート(調整)が十分ではなかった。
熊本地震 ○広域災害救急医療情報システム(EMIS)の活用不足【健康福祉部】・医療機関の被災状況等の情報収集では、広域災害救急医療情報システム(EMIS)の活用を想定していたが、システム未登録の医療機関があったことや、二次救急医療機関におけるシステム操作の未習熟等により、システムを十分に活用することができなかった。
熊本地震 ○ドクターヘリの運用において情報の混乱が発生【健康福祉部】・災害時におけるドクターヘリの運航調整等について、「熊本県ヘリ救急搬送運航要領」等で具体的な対応を定めていなかったため、発災直後は、情報が混乱する場面があった。
熊本地震 ○給水要請に対する窓口が未整備【健康福祉部】・発災時点で医療機関等からの給水等の様々な要請に対応できる窓口が未整備であった。(発災後に関係者と協議し、対応窓口を整備)
熊本地震 ○円滑なマネジメント体制の構築【健康福祉部】・DPATの整備に向けて検討中の段階で災害が発生したため、発災直後から活動できる本県のチームがなく、DPAT調整本部や活動拠点本部の運営について全面的に全国のDPATの支援を仰ぐこととなり、本県主体でのDPATの活動のマネジメントができなかった。・今回、本県における災害時の体制が整備できていない中で対応できたのは、専門的な研修・訓練を受けた全国のDPATの存在が大きく、本県においても厚生労働省の活動要領に基づくDPATを整備し、必要な研修・訓練を受けることで、更に適切な現場への指示及び迅速な対応が可能になると考える。
熊本地震 〇被災者の心のケアを行う熊本DPATの体制が未整備【健康福祉部】・平成28年6月下旬以降、県内の精神科医療機関で編成する熊本DPATを暫定的に立ち上げたが、県内外の大規模災害に対応できるDPATを正式に発足させる必要がある。
熊本地震 〇関係者間での情報伝達等に時間を要した【健康福祉部】・発災直後、関係者間において、医療救護活動に関する情報伝達や意思決定に時間を要した。
熊本地震 ○支援要望と支援体制の間の不一致【健康福祉部】・夜間の支援に関する要望が多く、要請を行ったが派遣可能なチームに制限があり、活動できるチーム数が不足した。また、避難者が急増した急性期から亜急性期に活動した支援ナースから、夜間や救護所を有していない避難所での緊急時の対応等について不安の声が寄せられた。
熊本地震 ○受入市町村の被災者支援に関する知識不足【健康福祉部】・被災者支援の知識や経験の不足などから、災害支援ナース派遣終了後の避難所運営に不安感を持つ市町村があり、派遣終了の判断に苦慮した。
熊本地震 ○多くの医療機関が被災し、診療機能回復に相当の期間を要する【健康福祉部】・県内の医療機関(病院、診療所、歯科診療所)2,530施設のうち、1,302施設で建物や医療機器等に被害が発生した。熊本都市圏や阿蘇地域を中心に、多くの医療機関が被災し、診療機能の回復には相当の期間を要する。
熊本地震 ○多くの避難所の運営において避難者に寄り添った支援に課題【健康福祉部】・県内23市町村で避難所運営マニュアルが作成されていなかった。また、マニュアルが作成されていても、活用されていない事例が見受けられた。・多くの避難所では、市町村の担当職員に避難所運営の経験がなく、人員やノウハウが不足していたことから、被災者へのきめ細やかな対応が困難であった。
熊本地震 ○避難者による自主的な避難所運営への移行が困難【健康福祉部】・避難者による自主運営への移行が困難な避難所が存在したため、避難所運営に多くの行政職員、教職員が従事し、本来行うべき復旧業務等に支障を来した。
熊本地震 ○避難所担当の行政職員間で、引継ぎが不徹底【健康福祉部】・避難所担当の行政職員の引継がうまくなされておらず、情報共有ができていなかった。
熊本地震 ○要配慮者の希望に沿った宿泊施設を紹介できない事例の発生【健康福祉部】・宿泊施設自体の被災や災害応援のための宿泊者の急増により受入困難となった宿泊施設が多く、被災者の希望に沿った宿泊施設を紹介できない事例が見受けられた・事業内容の周知に努めたものの、車中泊の避難者も多く、旅館・ホテル提供の制度を知らない避難者も見受けられた。
熊本地震 ○避難所の被災【知事公室】・耐震基準は満たすが、天井の落下や窓ガラス破損等により使用できない避難所が存在した。