近年の災害対応検証の課題一覧

災害名
分類名
フェーズ
件数 620 件
災害名 分類名 フェーズ 課題概要
熊本地震 ○発災直後は避難所においてトイレ等の設備が不足、またプライバシーの確保に苦慮【健康福祉部】・発災直後は、パーティションや段ボールベッドなどの導入準備ができていなかった。・発災直後は、男女別の更衣室や授乳スペースの設置など女性に配慮した避難所運営が不十分だった。・発災直後は、避難所となった施設の一部において、トイレ等の設備が不足した。・発災当初に導入された仮設トイレは、和式トイレが多く、高齢者等が使用するには支障があった。
熊本地震 ○学校における避難所運営の課題【教育委員会】・地域防災計画上の指定の有無にかかわらず多くの学校(公立学校596校中223校)が避難所となった。・発災直後は、本来避難所の運営にあたるべき市町村の担当職員が来なかったり、来ても避難者の状況把握や要望に対応しきれない状況であったため、学校の教職員が主体となって運営に従事した避難所がほとんどであり、教職員の負担が大きく、本来の学校運営に支障を来した。・避難所として指定されている学校は、市町村との協定では、発災直後の一時的避難所として位置付けられていることが多いが、実際には避難が長期化せざるを得ず、多くの学校が避難所運営や学校運営に苦慮した。
熊本地震 ○学校の避難所としての構造や機能に起因する課題【教育委員会】・避難所に指定されていた学校施設が被害を受けて、実際には避難所としての利用ができなかったケースがあった。特に市町村立学校の天井などの非構造部材の耐震化の推進が課題。・避難が長期化する中、ライフラインや空調の確保などに多くの学校が苦慮した。・指定避難所においても、備蓄のほか、例えば、井戸水、中水施設、太陽光発電、マンホールトイレなど防災・避難所機能が不足していた。・一つの学校で最大で約2千人の避難者を受け入れる中、学校には洋式トイレの数が少なく、和式トイレがほとんどであるため、高齢の避難者に負担をかけることになった。トイレ自体も不足した。
熊本地震 ○学校や教職員などの在り方に起因する課題【教育委員会】・学校は教育の場であるという意識が強く、児童生徒の安全確保の意識は強いが、地域の避難所の運営に携わる必要があるということの想定ができていなかった。・今回のような大規模災害に具体的に対応するマニュアルがなく、実践的訓練もなされていなかった。・秩序のある避難所運営を行うには、避難所内の自治組織の果たす役割が大きいが、県立高校や新興住宅地域の小中学校は、普段は地域の自治会等とのつながりが希薄であるため、そうした組織の立ち上げが難しかった。
熊本地震 ○被災者への栄養食生活支援の遅れ【健康福祉部】・被災市町村管理栄養士がいない又は他業務従事により被災者の栄養食生活支援が遅れ、食の要支援者への支援体制確立に時間を要した。
熊本地震 ○発災直後、栄養バランスの配慮が困難【健康福祉部】・発災後の非常食や自衛隊等の炊き出し、その後の避難所生活の長期化に伴う弁当等の提供において、食中毒予防等を優先した上で膨大な食数を確保せざるを得ない状況等から、栄養バランスに配慮した食事への見直しは難しかった。
熊本地震 ○日々変化する避難所状況に合わせた改善が困難【健康福祉部】・避難所食事提供状況アセスメントを実施したが、その算出に時間を要し、日々変化する各避難所状況に合せた改善につなげることが難しい場合があった。
熊本地震 ○健康等の情報収集にあたる職員は様々な疾病等に対する知識が必要【健康福祉部】・実際に健康等の情報収集にあたる職員は、様々な疾病等に対する知識が必要となる。
熊本地震 ○ペットの同行避難の可否等、個々の避難所の情報が不足【健康福祉部】・ペットの同行避難や施設内への受入れの可否等、個々の避難所の情報が不足し、避難所でペットの受入れの対応に苦慮した。・発災直後から1か月半程度は、特に個人や動物愛護団体等からのペット用支援物資の寄付の申し出、迷子や一時預かり、同行避難などについて相談・問合せや苦情が多かった。
熊本地震 ○ペット飼養被災者に対する支援制度が未整備【健康福祉部】・ペット飼養被災者に対する支援制度が未整備だったため、熊本県動物愛護推進協議会委員個人に頼らざるを得ず、負担が大きかった。
熊本地震 ○前震により施設の安全確認の為、業務を一時中断した【環境生活部】・平成28年4月14日の前震後、くまもと県民交流館女性総合相談室の施設の安全性が確認できるまで業務を一時休止していたことと、ポスターに掲載する相談窓口について、調整に時間を要したため、避難所を巡回するまでに数日かかった。
熊本地震 ○日頃からの啓発の必要性を痛感【環境生活部】・避難所によっては、「この避難所では性被害等の問題は起きてないので必要ない」との主張によりポスターの掲示に難色を示されることもあった。また、避難所における男女共同参画の視点の必要性についても理解されにくい面があった。・なお、避難所での性被害、性犯罪の発生については、一部報道された他、警察や市町村職員が対応した指導警告等の事例も報告されている。
熊本地震 ○管理者間の引継ぎ不足により、迅速な避難所訪問活動に支障【県警本部】・避難所によっては、管理者間の引継ぎが行われておらず、訪問した際に迅速に活動を行えない場面があった。
熊本地震 ○避難者数が共有できなかったことにより、訪問活動を優先すべき避難所の判断に苦慮【県警本部】・発災後、しばらくの間は、避難者数の情報について共有できなかったことから、どの避難所を重点的に訪問するか判断がつかなかった。
熊本地震 ○活動場所の近くに宿泊所を確保することが困難【県警本部】・活動場所の近くに部隊の宿泊所を確保することができなかったことから、移動に時間を要することになり、活動時間が削られる結果となった。
熊本地震 ○避難所外被災者の把握や対応が困難【健康福祉部】・指定避難所以外の避難所においては避難者の受入れを想定していなかったため、避難者の受入れや対応に苦慮した。・指定避難所以外の避難所、車中泊、テント泊、自宅の軒先など指定避難所以外の場所に滞在する被災者の実態把握は困難であり、物資の支援や情報提供が十分でなかった。※「平成28年熊本地震に関する県民アンケート結果」・避難者の約7割が車中泊を経験している。・車中泊の理由としては、次の回答が多かった。
熊本地震 ○発災直後にエコノミークラス症候群の患者が集中的に発生【健康福祉部】・発災直後には、エコノミークラス症候群の患者が集中的に発生した。なかには、重症な患者も発生した。<エコノミークラス症候群予防啓発のチラシ>
熊本地震 ○避難所の対応マニュアルや運営マニュアルがなく対応に苦慮【全部局】・避難所として想定していない中での対応だったため、各施設に避難所の対応マニュアルや運営マニュアルがなく対応に苦慮した。・発災直後は、所在市町村との情報共有が上手くいかずに支援物資が届かない所も存在した。・施設の職員が運営にあたらなければならなかったため、職員が疲弊した。
熊本地震 ○避難者を受け入れたことで一部の会議室が使用不可【総務部】・発災直後、多くの避難者が県庁のロビー等に避難してきたため、その対応に職員が当たらざるをえなかった。・また、避難者を受け入れたことで、一部の会議室が使用できなくなった。
熊本地震 ○被災により施設内を立入禁止としたため、トイレが使用不能に【商工観光労働部】・発災当初は施設がそれほど被災しておらず、施設内のトイレ等を利用に供したが、2回目の本震以降施設が被災し、施設内を立入禁止としたため、車中泊者等のトイレの用意ができず、近くの小学校等のトイレを案内するも、敷地内で用を足す方がいらっしゃる等対応に苦慮した。
熊本地震 ○車中泊等、避難者の把握等が困難【商工観光労働部】・屋外の避難で車中泊等のため、避難者の把握が困難であった。どこの市町村の方か、車中やテントに何名いるかも不明であり、また、車の台数も日中は仕事等に行かれ夜戻られる方や、万が一のためペットボトル等を駐車場に置き、場所取りのみをしている方もおられた。さらに、ボランティア等の車も多数訪れ、避難者の実態が掴みづらい状況であった。・駐車場が広く、出入口も制限なく開放しているため、避難者かそうでないかの把握が難しい。指定管理者において駐車場巡回を実施したが、不審車両と思われる場合は、警察に巡回を依頼するなどの対応が必要であった。・車中泊やテント泊は長期間になると心身共に負担が大きく、短期間での解消が必要だが、避難者がいる以上、施設管理者として施設を閉鎖することも難しく、地元市町村等と早期から連携し、できるだけ速やかに避難所等へ誘導することが大事であるが、車中泊等による避難は8月まで継続された。・テント等を避難者が放置していかれる事例もあり、所有者の特定等事後の対応があった。
熊本地震 ○報道等による全国からの支援により、物資が飽和状態に【商工観光労働部】・全国的にグランメッセ熊本の車中泊避難の様子が報道されたり、SNSの発信情報等により、全国から直接物資が届けられるとともに、ボランティアの申し出(炊き出し等)が多く寄せられ、当初は支援物資が飽和状態となった。物資が不足しているところへの融通やボランティアが必要なところに斡旋ができればいいが、リアルタイムの情報がつかみにくく、お断りをせざるをえず、対応に苦慮した。
熊本地震 ○当初、救援物資の不足が発生【教育委員会】・平成28年4月14日の前震後、約5日間程度、県立総合体育館において、水やパンなどの救援物資が届かず、不足する事態となった。
熊本地震 ○避難者の氏名等の確認ができず、食事の配給等避難所運営に苦慮【教育委員会】・県立総合体育館の避難者の一部について、氏名等の確認ができず、食事の配給等避難所運営において苦慮することがあった。
熊本地震 ○指定避難所でないことにより市町村の支援が受けられなかった事例あり【教育委員会】・多くは指定避難所であった学校の課題と共通であるが、一部の学校では避難所運営のための市町村職員の派遣が受けられなかったり(遅れたり)、支援物資が直接届かないため、学校職員が他の指定避難所に物資を取りに行ったという事例もあった。
熊本地震 ○高齢者等特別な支援を必要とする避難者への対応に苦慮【教育委員会】・県立青少年教育施設は、本来青少年の研修を目的として整備された施設のため、ハード面では段差等の障害があったり、ソフト面ではスタッフが高齢者等特別な支援を必要とする避難者への対応に苦慮するなどの懸案も発生した(発災後しばらくは十分な人的体制の確保が困難であった)。
熊本地震 ○受入れ開始後、支援物資が届かない学校あり【総務部】・私立学校は、学校という公的な側面はあるが、基本的には民間の施設であり、災害対策基本法に基づく「避難所」ではない。今回の受入れは、避難所が不足する中、あくまでも学校の協力・厚意による受入。(一部の学校は、一時避難場所となっているが、一時的なものであり、長期滞在することを前提とするものではない。)・災害対策基本法に基づく指定避難所の指定を受けていなかったため、避難者受入れ開始後、支援物資が届かない学校があった。また、支援物資が届かないため、学校職員が県庁等の避難所に物資を取りに行ったという事例もあった。
熊本地震 ○避難所外被災者への対応が困難<再掲>【知事公室】【健康福祉部】・指定避難所以外の避難所、車中泊、テント泊、自宅の軒先など指定避難所以外の場所に滞在する被災者の実態把握は困難であり、物資の支援や情報提供が十分でなかった。
熊本地震 ○エコノミークラス症候群予防について、避難者が事前に知識を持っておくための防災教育が必要【健康福祉部】・エコノミークラス症候群予防について、発災直後の超急性期からの報道機関と連携した啓発活動及び避難者が事前に知識を持っておくための防災教育が必要。
熊本地震 ○政府備蓄米の事務処理方法の改善が必要【農林水産部】・災害発生時の政府備蓄米の扱いについては、「米穀の買入れ・販売等に関する基本要領」(平成21年7月1日付け農林水産省総合食料局長通知)に定めてあるものの、全国で活用した事例がなかった(東日本大震災時も活用されず)。そのため、今回が全国初の災害時の政府備蓄米活用事例となり、手探りの事務となった。・今回の政府備蓄米の要請は、市町村から国へ直接行い、調達・配送は国により行われたが、代金支払いは市町村の要請を基に、国と県の間で売買契約を締結し、県が支払を行うこととされている。しかし、市町村から県へ要請を行い、数量を把握する認識が薄かったため、国との契約に予算措置が急きょ必要になることが判明。数量把握や予算措置の事務を非常に短い期間で処理することとなり、事務が集中。そのため、今後に備え事務処理方法の改善が必要である。