近年の災害対応検証の課題一覧
件数 620 件
災害名 | 分類名 | フェーズ | 課題概要 |
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熊本地震 | ○憶測等による不正確な情報で現場が混乱【健康福祉部】・現場での憶測発言や整理されていないデータ公表により情報の錯綜が発生し、混乱が生じた。 | ||
熊本地震 | ○停電による電話回線の断線【環境生活部】・熊本県環境事業団体連合会が被災により、電話回線が断線したこともあり、連絡手段に限りがあったため、多少の混乱が生じた。 | ||
熊本地震 | ○設置した仮設トイレの管理【環境生活部】・設置後の仮設トイレの管理について、事前に管理方法を定めていなかったため、使用方法や清掃など衛生管理の徹底ができなかった。 | ||
熊本地震 | ○仮設トイレの設置に係る国との連携不足【環境生活部】・仮設トイレの設置について、国のプッシュ型支援を想定していなかったため、国からの調達数や配送先など情報が十分に把握できず、設置後の管理に苦慮した。 | ||
熊本地震 | ○県民へ制度の周知不足(調査全般)<再掲>【知事公室・土木部】・県民から見た際に、被災建築物応急危険度判定と被災宅地危険度判定、罹災証明のための住家被害認定の違いが分かりにくいという意見が多数あった。 | ||
熊本地震 | ○判定拠点施設等の被災(建物調査)【土木部】・甚大な被害を受けた市町村が多く、判定区域を決定する際、優先活動地区の決定に時間を要し、判定士の乗込みに時間がかかった事例があった。・当初予定していた被災建築物応急危険度判定拠点施設(熊本産業展示場(グランメッセ熊本)(益城町))が被災を受けて利用できず、別の場所を確保せざるを得なかった。 | ||
熊本地震 | ○活動を円滑に行うための準備不足(建物調査)【土木部】・被災建築物応急危険度判定活動にあたる判定士の円滑な活動のために、実施本部と支援本部との連絡調整を行う、コーディネーターを多く準備しておく必要があったが、交替要員が限られており、最後まで同じコーディネーターが従事することとなった。・判定活動に利用するステッカー(「危険」「要注意」「調査済」)等の印刷物は、判定活動状況を確認しながら印刷を行ったため、判定人員が急激に増えた際に、ステッカーが不足する状況となった。 | ||
熊本地震 | ○県民へ制度の周知不足(調査全般)【知事公室】【土木部】・県民から見た際に、被災建築物応急危険度判定と被災宅地危険度判定、罹災証明のための住家被害認定の違いが分かりにくいという意見が多数あった。 | ||
熊本地震 | ○初動期における市町村支援本部の事務(宅地調査)【土木部】・県が設置し、運営することとされている被災宅地危険度判定の支援本部の事務について、地震発生後1か月余りは被災建築物応急危険度判定などの災害対応に追われ、県による運営ができず、国から支援を受けることになった。また、初動時において支援事務や他県判定士の事務作業の場の確保が、県庁や県庁周辺でできなかった。 | ||
熊本地震 | ○市町村間の調査判定方法の調整に苦慮【知事公室】【健康福祉部】・熊本地震においては、住家被害認定調査2次調査の際に、熊本市が独自の調査票を用いて被害調査を行ったことから、それ以外の18市町村から県に対して被災自治体間の調整等を求める申入れがあった。(平成28年9月5日付)。そのため、2次調査に関する調整会議や意見交換会を開催して調整を図った。その際、国の防災基本計画においては、県には広域的な災害における調査・判定方法の市町村間での調整が定められている一方で、このことについては何ら法令上の定めがなく、県として市町村に対する強制力がないことから、調整に際しては対応に大変苦慮した。・県域を超えた調査方法の調整が必要となった場合は、更に調整が困難となることが予想される。(時系列)・4月下旬~県では、被害認定に係る調査・判定方法に市町村間のばらつきが生じないよう、大学や研究機関の支援のもと、発災直後から研修会を6回開催するなどのシステム導入に向けた支援を行うとともに、コールセンターを設置し、市町村からの相談にも対応。・7月5日熊本市の2次調査の調査票が内閣府指針準拠のものと異なるのではないかとの情報が県に寄せられる。・7月上旬県では、熊本市の2次調査の状況についてヒアリングを実施。・8月熊本市の調査票について、内閣府に確認を依頼。熊本市へのヒアリング結果、内閣府の見解などをもとに、関係市町村担当者や、担当課長との協議を3回実施。・9月5日18市町村から県に対して、判定基準等について、県において調整を行うよう申し入れ。・9月16日「熊本地震」住家被害認定2次調査に関する市町村調整会議を実施。熊本市から「2次調査の迅速実施のために独自の調査票を使用しているが、内閣府指針に沿って行っている」旨の説明がなされ、各市町村長とも、熊本市の説明を了解される。・10月3日9月16日の調整会議を受け、熊本市から、調査票記載欄の追加等の改善を行ったとの報告を受ける。・10月7日上記調査票を各市町村に参考送付 | ||
熊本地震 | ○市町村の発行状況の集計等で混乱が生じた【知事公室】【健康福祉部】・罹災証明書の発行状況の集計等についての詳細を定めていなかった。このため、現場の市町村等をはじめとする関係者の混乱を招いた。 | ||
熊本地震 | ○2次調査の取扱いで2次調査申請件数が増加【知事公室】【健康福祉部】・通常、1次調査と2次調査で判定が異なる場合、詳細な調査である2次調査の結果を採用すべきであるが、市町村によっては、被災者に寄り添うという観点から判定結果の重い方を採用することとしたことから、2次調査の申請件数が増加し、調査期間も長期化した。 | ||
熊本地震 | ○住家被害認定調査を行うための人材確保が困難【知事公室】【健康福祉部】【土木部】・住家被害に関する調査は、各自治体が行う調査(被災建築物応急危険度判定調査、被災宅地危険度判定調査及び住家被害認定調査)と、民間の保険会社が行う地震保険損害調査があり、それぞれの目的や調査基準が異なることから調査結果が異なることについて、市町村や住民から、不満の声が多く聞かれるなど混乱が生じた。・住家被害認定調査を行うためには多大な人的資源を投入する必要があるうえに、建築士等の人材確保が困難であるといった問題が生じた。 | ||
熊本地震 | ○多くの問い合わせ対応などで、災害対策本部が忙殺【知事公室】【健康福祉部】・災害対策本部で人命救助に関する事務を所管する職員が、生活支援に関する事務である罹災証明業務を兼務していたことから、住民・マスコミ・市町村等からの問い合わせをはじめ、多くの業務を並行して対応せざるを得なくなる等、災害時の事務分掌未整理が原因となる混乱が生じた。 | ||
熊本地震 | ○被災者に寄り添った応急仮設住宅の提供に課題【健康福祉部】【土木部】・地震による地割れや浸水区域の存在などにより、応急仮設住宅を整備できるまとまった用地を失った市町村においては、応急仮設住宅の建設用地の確保に苦慮した。また、従来の地域コミュニティに配慮した候補地を選定する市町村においては、住民の合意形成や地権者との交渉に時間を要した。・途中で入居要件が緩和され(全壊・大規模半壊から半壊の一部まで)、入居対象者が拡がったことや、り災証明書の2次調査に時間を要したことから、市町村からの追加の建設要請が続き、全体戸数の把握に苦慮した。・梅雨時期の大雨により予定していた工程を変更せざるを得なかったり、必要な職人の確保が困難であったこともあり、一部の応急仮設住宅で、工期に遅れが生じた。 | ||
熊本地震 | ○応急仮設住宅建設予定地の土砂災害に対するリスク評価【土木部】・「応急仮設住宅の設置に関するガイドライン」(H20.6、厚生労働省)では、地方自治体が応急仮設住宅建設候補地を選定する際の選定条件として、生活環境の安全性等が確保できること等が記載されている。・発災後に各市町村が選定した応急仮設住宅建設候補地の中に、土砂災害警戒区域等の指定基準に該当するケースが複数確認され、リスク分析や、リスクの取扱いに係る配慮が不充分と推察されるケースが見られた。・各市町村が土砂災害に対するリスク評価を短時間で行うことは困難であったことから、応急仮設住宅の建設が一刻を争う中、県で実施することとした。・土砂災害の危険性等の分析には、地形情報の入手後、分析に概ね2日程度を要した。・迅速な対応のためには、応急仮設住宅建設候補地の土砂災害リスク評価を発災前の備えとして実施しておくことが必要である。 | ||
熊本地震 | ○住居内の段差や出入口の幅等のため、入居決定後に車椅子使用者等が利用しづらい、又は入居を断念する事態が発生【健康福祉部】【土木部】・応急仮設住宅の約1割は入口にスロープを設け、住戸内に手すりを付ける等の配慮を行ったが、入居段階で、車椅子使用者がいることが判明し、住戸内の段差や出入口の幅等の問題により、障がいのある被災者が入居を断念する事例や、入居しても生活に支障を来す事例が生じた。 | ||
熊本地震 | ○出店に係る関係者との調整に時間を要した【企画振興部】【商工観光労働部】・多くの関係者の合意のもと出店計画を進める必要があるが、経験したことのない事例でもあり、出店や関係者との調整等に時間を要した。 | ||
熊本地震 | ○みなし仮設住宅のスムーズな提供に課題【健康福祉部】・既存の民間賃貸住宅を活用するみなし仮設住宅については、発災後、早急な制度開始が求められたが、制度が未整備で、関係機関との協議や制度設計を行う十分な時間も確保できなかった。そのため、制度開始後に、被災者の入居がより円滑に進むよう申込みから契約に至るまでの手続の変更等を行った。・発災直後は、被災した賃貸住宅も多く、みなし仮設住宅の確保に苦慮した。・入居対象者が途中で拡充(長期避難世帯、半壊世帯の一部(解体等)が追加)されたこともあり、申込件数が当初想定を大幅に超過した。そのような中、制度設計、申込書審査、契約締結、支払、データ管理など多岐にわたる業務を処理する必要があったため、早急に応援職員を増員するなどして対応する必要があった。・契約や支払については、当初、1契約ごとに支出負担行為、支出命令を行っていたため、申込みが増加する中で事務量が膨大なものとなった。 | ||
熊本地震 | ○入居資格の問題【土木部】・熊本市と協議の上、県が募集する県営住宅、公務員住宅、独立行政法人所有の住宅への一時入居の対象者については、「熊本市在住以外の者」としたが、熊本市民の方からの理解を得るのが難しい場面もあった。・熊本市内にある県営住宅等については、応募が殺到したものの、熊本市外にある住宅はほとんど応募がなく、エリアによってはバラツキが見られた。・震災により情報連絡手段等が制約されていたこともあり、募集案内等の周知をはじめ、入居決定者への電話連絡等に時間を要し、対応に苦慮した。 | ||
熊本地震 | ○実際に入居するまでに時間を要するとともに、キャンセルも多く事務手続きが煩雑【土木部】・入居者を決定し鍵の引渡しを行った後、罹災証明書が発行されるまで保留したり、入居者が当選した住居の下見を行うなど、実際に入居するまでに時間を要した。また、その後のキャンセルも多く、事務手続きが煩雑になった。・緊急避難的な要素が強い一時入居であるものの、身体障害者、高齢者や妊婦など、入居に際して物理的な配慮が必要な方への対応が出来なかった。 | ||
熊本地震 | ○事前の事務処理手順や推進体制の整備不足【環境生活部】・損壊家屋等の公費解体については、全ての災害に適用されるよう制度化されたものではないため、県、市町村ともに事務処理手順や推進体制の整備がなされていなかった。 | ||
熊本地震 | ○膨大な解体棟数による作業期間の長期化【環境生活部】・市町村が想定する解体棟数が3万棟を超え、家屋解体作業に時間を要し、解体完了まで約2年が必要となっている。 | ||
熊本地震 | ○高額な解体費用の請求など、消費生活問題の発生【環境生活部】・発災当初の自主解体において、高額な解体費用を請求されるなどの消費生活に関するトラブルが見受けられた。 | ||
熊本地震 | 〇受援体制の構築・発災直後における他県への応援職員の派遣要請について、緊急的対応したこともあり、要請担当部局における担当業務内容や量の精査が必ずしも十分でなく、過不足が生じた事例があった。【総務部】・九州地方知事会その他の派遣協力県等における初期対応は、情報不足の中で即応せざるを得ない状況であったため、応援要請の根拠を確認し、費用負担の在り方も含めてあらかじめ調整するいとまがなかった。【総務部】・100人規模の自治法派遣職員を受け入れるための宿舎確保と派遣に伴う予算などが課題となった。特に被災地域の地域振興局(阿蘇及び上益城)における宿舎確保が困難であった。【総務部】【教育委員会】・発災直後、応援県が到着後、宿泊先の提供や紹介を求めるなど、受援側が対応に苦慮した事例が存在した。【知事公室】・自治法派遣の要請を知事会等に行うタイミングとして、復旧・復興事業を速やかに行うためには一定程度要望数が確定した段階で、随時要望を行う必要もあることから、3段階に分けて要請することとして知事会等と調整を行ったが、県内市町村の要望も複数回になったことから、派遣元自治体は矢継ぎ早に応援を受けることとなり、負担が多かった。【総務部】・県外保健師チームの受入れにあたり、県、市町村側の受入体制が整わない中での派遣受け入れとなった。【健康福祉部】 | ||
熊本地震 | ○派遣職員の受入れシステムが固まっておらず、庁内役割分担や手続きのルートが二転三転することがあった<再掲>【教育委員会】・発災直後は、派遣職員の受入れシステムが固まっておらず、知事会への要請に当たって人事課との役割分担や手続きのルートが二転三転することがあった。 | ||
熊本地震 | 〇大規模災害を経験した職員が不足・大規模災害時におけるフェーズの変化を予測した対応ができる職員が不在であった。・本県では兵庫県や徳島県のように、避難所運営や児童生徒の心のケア、授業再開のノウハウ等防災や復旧・復興の専門性を有する教職員がおらず、学校における避難所運営の対応に苦慮した。【教育委員会】 | ||
熊本地震 | 〇県警屋上ヘリポートの使用と代替地の確保【総務部】・前震後、ヘリで派遣される救急消防援助隊の指揮支援部隊長(福岡市消防局)の受入れについて、県警屋上ヘリポートは夜間照明設備がなく、また大きな余震が頻発する中で、屋上施設では離着陸時の安全性が確保できず、別のヘリポートを指定する必要があった。 | ||
熊本地震 | 〇甚大な被害を受けた市町村に対するプッシュ型の支援【国検討ワーキンググループ】・情報連絡員(リエゾン)の情報等に基づき、支援要請を行うことさえも困難となるほど行政機能が極度に低下していると判断された市町村に対しては、応援側が要請を待たずに行うプッシュ型の支援を行う必要がある。さらに、受け入れ側の市町村の被災レベルが特に大きい場合には、十分な受援体制がとれないことを前提に、可能な限り応援側で自己完結できるような支援パッケージを提供する必要がある。 | ||
熊本地震 | 〇情報連絡員などの配置先の決定判断や指揮命令系統、業務内容が不明確【知事公室】・発災当初においては、様々な情報が錯綜し各所属ともに混乱していたため、情報連絡員等の配置先の決定判断や指揮命令などについて、必ずしも明確でなかった。【総務部】・派遣した情報連絡員の役割や業務内容が明確でなく、派遣職員に戸惑いがみられた。 |