近年の災害対応検証の課題一覧

災害名
分類名
フェーズ
件数 620 件
災害名 分類名 フェーズ 課題概要
熊本地震 ○被災市町村やカウンターパート県との不十分な調整【総務部】・被災市町村への業務支援に関しては、被災市町村やカウンターパート県との調整が十分ではなく、市町村支援に必要な業務や人員を把握することが困難であった。
熊本地震 〇市町村のニーズや業務に適合しない職員派遣期間【総務部】・被災県としての応急対応業務が激増する中で、被災市町村への支援に限界があった。・発災当初は業務内容や市町村のニーズ等に適合した派遣期間の設定が出来ないものがあった。このため、応援職員が短期で交代し、引継ぎのたびに被災自治体が説明を行わざるを得ず、対応に苦慮したケースがあった。
熊本地震 〇被災市町村の意思決定への参画が困難【総務部】・被災の激しい市町村の業務支援のため、短期的に派遣された県職員が、被災市町村における施策の意思決定に主体的に関わりづらい場面もあった。
熊本地震 〇情報共有・情報伝達の混乱【総務部】・発災直後の混乱もあって、県がすべての情報を把握することが困難であった時期もあり、円滑な情報共有・情報伝達が行われたとは言い難い面があった。特に人員派遣については県として市町村支援が必要な業務や人数を把握することが困難だった。
熊本地震 〇被災市町村の受援能力の不足【総務部】・被災市町村に受援ノウハウがないこともあり、必要人数が精査されないまま派遣要請に踏み切ることがあった。このため、現地での人員のダブつき、不足、予定外の期間延長が生じた。
熊本地震 〇国の財政措置と経費負担規定の相違【知事公室】【総務部】・「九州・山口9県災害時応援協定」では応援に要した経費は原則として、被災県負担となっている。他方、罹災証明関係業務での短期の職員派遣に要した経費については、災害救助法の対象外とされているほか、国の財源措置(特別交付税)上、応援側に講じられることになっており、齟齬が生じている。
熊本地震 ○事前の備えや過去の災害の教訓、経験の伝承が不足・平成27年に実施された県民アンケートでは災害に備えて備蓄をしていたのは27.5%であり、全国平均(47.4%)と比べても低く、また、発災直後から県や市町村による備蓄が不足し、物資支援が必要であった。・県民アンケートでは災害に備えて住宅の耐震化を行っていたのは8.8%、家具等の固定を行っていたのは19.2%であり、住宅の耐震化、家具の固定等の取組みが不十分であった。・過去の災害の伝承が不十分。※震災後の自助の高まり県民アンケートより、熊本地震後、県民の自助の意識が高まっていることが分かる。例えば、震災前に比べ震災後は、「飲料水・食糧を備蓄」した方は1.8倍、「家具の固定」、「非常用持出品の準備」については2倍以上の方が備えをしている。
熊本地震 ○デマ情報等により、被災者・行政が混乱する事態が発生【知事公室】・デマ情報や一部の人々が発信した情報により被災地ごとに支援の格差が生じるなど、被災者・行政が混乱する事態が発生・SNSによる水・食糧の支援要請が数多くあり、確認しても情報源が不明であったり、時点が古く、既に解決していたりするなど、確認作業でのロスとなった。
熊本地震 ○活動ができなかった組織や関係機関との連携が不足していた組織が存在・地域や隣近所のつながりが希薄な地域では、声掛けや避難誘導、自主的な避難所運営を行うことができなかった。・避難者による自主運営が行われなかった避難所では、避難者が過度に行政に依存したため、職員が本来行う業務ができなかった事例も存在した。・平時より市町村や他の団体と共同で防災訓練を行うなど顔が見える関係を構築できていない地域では、市町村(公助)と消防団、自治会、自主防災組織(共助)との連携した対応が困難であった。
熊本地震 ○リーダーとなる人材の不足・想定外の災害であり、自主防災組織の役員が被災したため、防災リーダーとなる人材が不足し、マニュアルや訓練通り十分な活動を行うことができなかった。・安否確認や避難所運営に係るノウハウ不足等により、うまく機能しなかった組織が存在した。
熊本地震 ○資機材や事前の訓練の不足・資機材(投光器、発電機、テント等)や備蓄品(毛布、食料、水)などの事前の備えや日頃の訓練が不十分であった。
熊本地震 ○継続した訓練が必要【総務部】
熊本地震 ○団員自身も被災者であるため、長期的な活動、大規模かつ広範囲な災害への対応が、マンパワー等の面で困難【総務部】
熊本地震 ○初動対応にあたる資機材の充実が必要【総務部】・携帯電話が利用できなかった(繋がりにくかった)ため、広範囲に届く無線機の整備が必要。・資機材(救急セット、AED、ポータブル発電機、担架等)の充実を図る必要がある。
熊本地震 ○消防団と関係団体との連携の強化が必要【総務部】・消防団と区長・公民館長など、各組織間の連携強化が必要。・災害対応に当たっては、土地勘や地元住民と顔の見える関係が重要である(地元分団による対応が最も望ましい)。
熊本地震 ○被害が大きい地域における消防本部との連絡体制作りが必要【総務部】・被害が大きい地区については地元分団が専属で残り、被災者のニーズ等を確認して対応するとともに、本部に連絡する体制作りが必要
熊本地震 ○災害時に他市町村からの円滑な応援活動を行える仕組みがない【総務部】
熊本地震 ○消防団員の惨事ストレス対策、疲弊防止が必要【総務部】
熊本地震 ○宅地被災状況の迅速な把握と市町村支援策の早期実施(宅地復旧)【土木部】・集計、データ化のための人員不足や体制整備の遅れ等により、被災宅地危険度判定調査によって得られた結果を、市町村の宅地支援担当部署の被害状況把握に早期に活かせなかった。・罹災証明交付時の調査項目に住宅の傾斜・擁壁被害、液状化被害等が含まれていること等の認識不足から、これらのデータを迅速な被災宅地把握に活用できなかった。・宅地耐震化推進事業等の制度周知と、県及び市町村における宅地被災状況把握及び事業実施体制が迅速に確立できなかった。
熊本地震 ○防災拠点となる庁舎等の被災【各施設管理者】【各庁舎管理者】・市町庁舎、熊本土木事務所、グランメッセ熊本(物資集積拠点)、消防学校(緊急消防援助隊集積拠点)等の防災拠点となる施設が被災したほか、断水も発生し、全部又は一部が使用できなかった。・また、建物や非構造部材の損壊により、施設の利用を一時中止するところもあった。
熊本地震 ○被災施設からの被害情報の収集が困難【関係機関】・学校や病院、福祉施設等の被災や職員の被災、通信手段の途絶等により、被害情報収集に時間を要する施設も存在。
熊本地震 ○甚大な災害を想定した農林水産分野の被害取りまとめ方法の整理【農林水産部】・甚大な災害だったため、発災直後は被害の情報が非常に少なく、特に、被害が甚大な市町村では、農林水産業の被害取りまとめが困難であった。また、団体を組織していない個人経営(養殖業者等)については、連絡先が十分に確保できていないなど、被害状況の把握に時間を要したことから、事前に甚大な災害を想定した被害取りまとめ方法等を整理しておく必要がある。
熊本地震 ○農林水産業の早期の復旧・復興に向けた安定的かつ十分な予算の確保【農林水産部】・農林漁業者の農舎・畜舎等の経営基盤や集出荷施設等の共同利用施設については、早期の経営再建を図る観点から、迅速な復旧が必要である。また、農地・農業用施設、林道、漁港等の生産基盤についても、同様に早急な復旧が求められている。しかし、復旧事業の実施に当たっては、施工業者への発注増加や資機材の需要の高まりのほか、とりわけ被害が甚大な地域では、いまだ生活基盤の再建途中で、経営再開への着手が遅れているなど、復旧には長い期間を要すると想定される。国においては、平成29年度以降も十分かつ安定的な予算の確保が必要。
熊本地震 ○農業者の経営基盤である農舎、畜舎、農業用機械等の迅速な復旧【農林水産部】・今回の地震により、農業者の経営基盤である農舎・畜舎、園芸用ハウス、農業用機械等が被災したことから、早期復旧を支援する必要がある。
熊本地震 ○畜産業の経営再建【農林水産部】・畜産業の経営再建にあたっては、施設の復旧、家畜導入に多額の投資が必要であるとともに、収益を得るまでに時間を要するなど、ハード面のみならず、運転資金も含めたソフト対策等、多角的な支援が必要である。農地の亀裂により損壊したハウス畜舎の倒壊(平成28年4月21日、菊池市)(平成28年4月20日、阿蘇市)
熊本地震 ○平成29年産の水の確保見込みを踏まえた作付転換等に対応できる体制整備【農林水産部】・地震で被災した水田で、ため池や水路破損により田植えができないものが発生。平成28年産は、大豆等への作付転換により急場をしのいだが、平成29年以降も引き続き、水が確保できない水田が発生することが想定される。今後も大豆等への作付転換を推進するとともに、必要な支援策を国、県で連携して実施し、農業者の所得確保を図る必要がある。
熊本地震 ○「多面的機能支払事業」の業務内容の周知徹底等【農林水産部】・「多面的機能支払事業」により、地域の農業者が協力して被災した水路、農道、ため池などの軽微な補修・復旧(自力復旧)を行えるが、事業内容の周知や、発災直後の市町村等への連絡体制の確保に苦労したため、改善が必要。
熊本地震 ○共同利用施設、卸売市場の迅速な復旧【農林水産部】・被災したカントリーエレベータ、ライスセンタ―、野菜・果樹等の集出荷施設などの共同利用施設、さらに卸売市場について、迅速な復旧を図る必要がある。カントリーエレベーターの損壊(平成28年4月25日、大津町)
熊本地震 ○大規模災害時、渋滞により輸送体制の停滞が想定されるため事前の備えが必要【農林水産部】・道路インフラ損壊に伴う渋滞により、青果物輸送トラックの確保が困難となり、県内産地で青果物が停滞し、消費地への供給の中断や産地廃棄等の発生による農家収入の減少といった二次的被害が生じることが懸念された。そのため、緊急車両のみに制限されていた高速道路の通行許可を得る対策などを講じることで円滑な輸送ルートを確保したが、今後も同様の事態が生じる可能性があるため、事前の備えが必要である。
熊本地震 ○災害時、生産現場や選果場等で発生する労働力不足への対応【農林水産部】・地震被害により、生産現場では、計画的な農作業が滞る事例が発生。また、選果場等では、ライン損壊等の影響で手作業で選果、箱詰め等を行わざるをえなくなる等の影響が出た。被災産地の農業生産、選果、出荷等を停滞させないため、県内に有する農業労働力をバランスよく活用する必要がある。