設立趣旨
首都直下地震や南海トラフの巨大地震をはじめとして、現在発生が危惧されている大地震は、多くの人命をはじめ甚大な被害をもたらし、我が国の経済や産業のみならず、人々の暮らしや価値観、社会の在り様まで、大きな変化をもたらします。自然災害が頻発する我が国において、人命を守り、被害を軽減する防災は、国力を左右する国家的にも重要な施策です。しかし、現在の少子高齢化による人口減少や財政的な制約を考えれば、「公助」の拡充は望むべくもなく、国として「自助」と「共助」を進め、災害対策を担える優秀な人材を社会の様々なセクターに配置することが求められています。
我が国では、これまでも一般の国民から政府まで、災害に対する様々な訓練や対策を行ってきました。しかし、2016年の熊本地震においても、自治体から住民までが、「混乱」や「機能不全」に陥り、十分に対応できない状況が各所で発生しました。これは、都道府県や政府、中央省庁においても同様で、未だ改善の余地が大きいと言えます。
このような状況を踏まえ、市町村、都道府県、国の行政職員をはじめ、国民各層の災害対応能力を高めるため、体系的かつ実践的な教育訓練センター「災害対策トレーニングセンター」を開設いたしました。
教育訓練にあたっては、東京大学生産技術研究所及び東京大学大学院情報学環を中心に、関係機関や学部、研究室及び一般財団法人生産技術研究奨励会の研究会に所属する企業各社が協働し、我が国に適した具体的な災害対応訓練及び教育システムの標準化を研究、開発、提供します。同時に、災害対応に関わる最新の知見、技術を集積し、効率的な災害対応としてトレーニングに反映させ、国内外に提示する機関として運用を図ります。
将来的には、防災の優秀かつ実践的な人材の国際的な養成機関として、持続的な発展を遂げられるものとするとともに、人類を待ち受ける未来の様々な災害、困難な事象に対し、これを乗り越える知恵と技術を生み出せる人材を養成、輩出し、社会に貢献したいと考えています。
Vision
For Resilient Future
私たちは、人類が直面する自然災害に対し、
個人と社会の災害対応力を養成、実装化することで、
国や地域を超えて、
一人ひとりの命を支えあえる未来の実現をめざします。
Mission
Change The Social Mind
私たちは、災害からより多くの人命を守り、社会の機能を継続させるために、
災害対応に係る体系的かつ実践的なトレーニングを提供することで、
社会を支える一人ひとりの取組、意識に変化を起こし、
持続可能な社会に寄与できる人材を養成します。
事業方針
For all students
人々が災害時に求める必要な知識、スキル、ノウハウを
実践的なトレーニングで習得できるよう、
災害対応及び研修・教育の研究を進め、
その成果を新しい教育サービスとして、社会に提供します。
東京大学が災害対応の研修・教育を行う理由
● 災害対応に求められる東京大学の学際的な土壌
災害発生時においても様々な分野を横断し対応が求められることから、国内初の災害対応における実践的な研修・教育の開発、提供は東京大学の使命と考える。
● 国や国際機関との連携を迅速に進められる東京大学の立地と人材
防災や関連領域においても多くの研究者が中央省庁や国際機関と協力、連携体制を取っていることから、迅速に国の災害対応に係る方針や施策を研修・教育に反映できる。
● 国民からの信頼と期待が寄せられる東京大学の研究と社会的な成果
人命を左右する災害対応において、教育・研修の実施者及び研究内容に対する信頼は不可欠であり、学びのモチベーション、延いては社会的な成果につながる。
私たちが大切にする7つのこと
1.より多くの人命を守ることを最優先に
直接的、もしくは広範な領域で人命に関わるトレーニングを優先的に構築、提供する。
2.危機感を持って迅速に
開発者・提供者が危機感を持ち、トレーニングの開発、実装化にあたる。
3.研究を怠らず、トレーニングを進化
4.未来を洞察し、知の概念を具体化、標準化、国際展開
東大クオリティのトレーニングを展開し、知の協創の世界拠点を目指す。
5.オープンイノベーションを誘発し、リソースを循環
知恵、技術、情報、資金を持続的に流入、循環させ、確保する。
6.評価と検証を怠らず、チャレンジとチェンジを連鎖
発展させる勇気を持ち、修正・変更、変化を恐れない。
7.ソーシャルソリューションとして最適な収益と事業運営
社会全体に共通価値を生み、持続できる事業とするため透明性を確保する。